Sウェーブ、尻別川、ニニウホール、シーソラプチ・空知川、カチポロホール、歴舟川、豊似川、十勝川
まず最初に・・・。いま、北海道が熱い。北海道のカヤックシーンはかなりアツいです。道民の皆さんはのんびりした人が多いので、自分達が熱く漕いでるという意識は無いでしょう。しかし、内地から来た私にはかなりアツいものを感じました。カヤッカー人口は多くはありませんが、それは内地も同じこと。しかし、全人口に対する割合でいえば少なくありませんし(北海道の人口547万人・東京都の人口1335万人)、一人あたりの熱量の多さといったら。
『カヤッカー人口割合 × 一人あたりの熱量』という数式があれば、全国でもトップかも。(ヤリサ調べ。)
特筆すべきは、若者と女性が多いこと。どんなコミュニティにも共通して言えることですが、若者と女性がいるコミュニティには未来と明るさがあります。オッサンだけでは限界集落です。
この北海道の熱風を、ぜひ内地へと送り込んでほしいです。地理的に遠いですが、大会などイベントに是非とも出てきてほしいと思いました。
北海道に3週間滞在しました。訪れた順に、Sウェーブ(余市川)、尻別川、沙流川、鵡川、ニニウホール(鵡川)、シーソラプチ・空知川、カチポロホール(戸蔦別川)、歴舟川、豊似川、十勝川。このうち、沙流川と鵡川のダウンリバーはソロでしたので、次回更新時に別記します。
私は北海道に知り合いはいませんでした。知り合いといえば、北海道に毎年通っているほぼ道民のようなミスター&ロボ子と、ドックパドル西田夫妻と面識があるくらい。知り合いがいないのでダウンリバーはできないかな、スポットでフリースタイルだけになるかな、と思っていました。半分はカヤック、半分は観光でもいいかなと。
しかし、素晴らしい道民の皆さんと出会えたおかげで、私の北海道ライフはとても充実したものとなりました。まさか上記のような沢山の川を下って、ほぼ毎日漕ぐことになるとは、全く予想できませんでした。
Sウェーブ 然別23.6x-24.2x
例年4月下旬から雪解けで出現するビッグウェーブです。写真の二段目の幅広いのがSウェーブ。高さも幅もあります。早岐のようなグリーンフェイスは無くて、全体に白いバックウオッシュ。
一段目は水位によっては乗れる、形の良い三角形ウェーブでサーフィンの練習にぴったり。関東ならこの一段目だけで行列ができますな。
関東はJacksonだらけですが、北海道は多種。dagger,pyranha,RAD,wavesports,vajda,titan,liquidlogic,Riot,fluidもいたかな。
Sウェーブは見た目は大きいですが、入ってみればタンの瀬のような凶悪さはありません。タンでは翻弄されるがままのノーコントロール状態でしたが、Sウェーブでは自分の意思で移動することができます。もし、初漕ぎがSウェーブだったら圧倒されていたでしょうが、タンを経てから来るとマシに思えます。「タンの瀬のあの日々はいったい何だったのでしょうか?」とミスターさんに問うと、「あれは精神修行だ。」と答えてくれました。ヤラレるだけのタンの瀬の日々を虚しく感じていましたが、無駄では無かったようです。
Sウェーブでは北海道の女性たちの前のめりな姿勢に驚かされました。ビックウェーブに臆することなくエントリーしてブラントやドンキーを狙います。しんどい担ぎ上がりもサッサとやります。エディの半分以上が女性なんて日もありました。女性がたくましいのは県民性なのでしょうか。2008年の早岐と幾春別で、北海道の女性たちを見た時も、元気いっぱいだな~と思ったっけ。
沈脱して流されると下流にある巨大ホールに入ってしまい危険です。最初にこの注意点を聞いた時、「沈脱しない私には関係の無い話ね。ケケケ。」と心の中で笑っていました。しかし、ウェーブの中で沈したらスプレースカートがゆるかったため水圧で外れてしまい沈脱してしまったのです。ぎえ~~。ちょうど下流にいた西田さんが左岸へ泳げ~と指示してくれましたが、どんどん流されてホールイン。水位の関係か全く捕まらずに出れましたとさ。トホホ。速攻で助けに来てくれたロボ子さん、かっこよくて惚れてまうやろ。
スプレーが外れて沈脱するのはタンに続いて2回目。だいぶゆるんでいたんだな。どうりで水がジャバジャバ入ってきたわけだ。ゆるくなった物を使い続けていた自分が悪い。北海道ツアーは始まったばかりなので、その場で西田さんにスプレーを注文して、数日後に新品を受け取ることができました。
7日連続でSウェーブで漕いだら疲れてしまいました。漕ぐのは1日あたり2時間程度でしたが、車中泊だと疲れが取れません。屋根のある所で寝たい・・・心身ともに弱ってきたので、ニセコのドッグパドルに宿泊して疲れを取り、休息日としました。みうさんの手料理が美味しかった。
尻別川(夏ラフトコース) Sウェーブで出会った みなかわさんが、私の車に積んであるピラニアBURNを見て、「ダウンリバーもするんですか?」と声をかけてくれたのがきっかけでした。ありがたや、ついに北海道でダウンリバーすることができました。
尻別川にはラフトの春コースと夏コースがあり、今回はみなかわさんが下ったことのある夏コースにしました。春コースのほうがスリルがあるそうです。尻別川はドッグパドルから近く、講習も行われるそうです。
みなかわさんと亀吉さんと記念撮影。みなかわさんが私のBURNを見て曰く、「なまらカッコイイ! 俺はBURNを持って写真に写ろうっと。」 私はそれを聞いて、『あ、初の生なまらだ。本当に道民はなまらって言うんだ~。』と思いました。
みなかわさんからの前情報で「チャプチャプですので退屈かもしれません」と聞きましたが、チャプチャプというよりはザブザブしていて、水量十分で楽しかったです。
今年の初漕ぎの亀吉さん。チャプチャプだから大丈夫とみなかわさんに云われて連れてこられたそうで、「だまされたー!」と連呼していました。
ダウンリバーの後、余市へ移動して2ラウンド目でSウェーブに乗りました。
翌日の豊平川DRのお誘いを石塚さんからいただき、札幌方面へ。
豊平川 藻岩ダム40トンくらい。
雪解けシーズン限定だそうで、ダウンリバーできて本当にラッキーでした。瀞場が少なく、瀬が続いており、ウェーブがいくつもありました。大きなウェーブが出てくるたびに、「これが有名な二段ウェーブか?」と思いました。名も無きウェーブでも関東なら行列ができそうなビッグウェーブでした。二段ウェーブは(今は一段なのかな)、DRの最後のほうに出てきて、高さのあるグリーンウェーブでした。写真ナシ。
ダム下からスタート。7人で。皆さんのトークがとても面白かったです。
メルヘンウェーブに着くと行列が出来てました。ベスト水位ではなかったので、幅広に見えるが乗れる場所は狭かった。メルヘンも二段も、パーク&プレイできるそうです。
ひかるちゃん。ロボ子並みのポテンシャルの高さで将来が期待できます。
豊平川で千葉さんと江戸くんにニニウの情報を教えてもらい、私は単身で日高へ向かいました。鵡川と沙流川をソロダウンリバーしましたが、これは後日に別記します。沙流川キャンプ場に連泊しました。
ニニウホール 福山168.90-92
ベスト水位で乗りました。掘れてる、深い、巻いてる、エディ戻るの簡単、水きれい。関東人から見ると嫉妬心で狂いそうになる好条件です。写真ナシ。
(関東の長瀞の某ホールなんて、刺すと当たる、バウとスターンは削れてボロボロ、エディ戻るの遅いと下流に流されて担ぎ上がり、ロール遅いと血だらけロックで怪我、水質はアレ。泣きたい・・・。)
そんな素晴らしいホールだったのですが、私はロクなプレイはできませんでした。できたのはエントリー直後のループだけ。位置取りもできないし、スピンもできない。京都の立岩ホールなどの掘れてるホールでスピンができないのは以前からです。あーあ、がっくり。Sウェーブとニニウホールでしみじみ思ったことが、どんなに素晴らしいスポットに行っても、できないものはできない。ホームゲレンデのショボいスポットで出来ないことは、条件の整ったスポットでも出来ないのです。交通費をかけてわざわざ遠征する自分が滑稽に思えてブルーになりました。
ニニウはマジで熊が出る。去年、カヤッカーが漕いでる時に熊が現れた。そんな話を聞いてビビリまくった私は、一人で漕ぐときはエディに鍋を持っていき、20分おきにガンガンと打ち鳴らすのでした。ビビリすぎ。
日高でのおひとりさまの日々を過ごした後、みなかわさんにお誘いいだいて、十勝へ向かいました。ここで私は彼らに会うことになるのです。彼らとは、そう、暇っこクラブ。
ヌビナイ川 歴舟川の支流です。この日は水量は少なめで、ボトムを擦りました。驚くほど水が綺麗で感動しました。増えても透明なままだそうです。上流には人がほとんど住んでおらず、人間のいない川はこんなにも綺麗なのかと知りました。大げさですが、天国ってこんな場所かなと思い、漕いでる間じゅう「オラは死んじまっただ~♪」と口ずさんでいました。
暇っこクラブの、くにちゃん、山ちゃん、大ちゃん、みなかわさんと5人で。堰堤下からスタート。
透明~。
こんな綺麗な水で静水できるなんて、うらやましいな~。
時々ログがあるので注意です。透明だな~。
くにちゃんのFUNが割れた。さすがジャクソン。
沢が流れ込んでる場所は、フカフカの苔や蕗が生えており天国のような美しさ。
この日は少ない。
暇っこクラブ。彼らは静水に来るとすかさず刺しまくる、エディラインを見つければクロスパドルを入れてバウスクリューする、岩を見つけるとカヤックごと登る。
いったい彼らは何者なんだ・・・。ていうか平日なんですけど、なんでこんなに集まってるの?仕事してないの?え!!週6日漕いでるの!?
シーソラプチ川・空知川 幾寅3554.24
シーソラプチ川も漕いでみたかった川ですので、願いが叶いました。シーソラプチから漕ぎ出して、落合で空知川へ合流して南富良野まで15kmのロングダウンリバーです。流速があるので楽チンでした。みなかわさんと二人で。
シーソラプチは川幅が狭い。もっと増えても楽しそう。
落合の瀬の最後にある形の良いウェーブ。
カチポロホール 戸蔦別187.25-29
人工物が壊れた跡のようです。深い、エディ戻るの簡単、水きれい。もう数センチ少ないほうが、巻いて残りやすくなるそうです。関東人から見ると歯ぎしりをするほど羨ましいです。
帯広畜産大の学生たちがこのホールで漕いで短期間で上達したという話を聞きましたが、たしかに練習にはとても良さそうです。
週末は賑わいました。
一週間ぶりに再会したミスター&ロボ子はマックナスティやり放題。ミスターさんが、「やりちゃんもマックナスティやってみなよ」と言ってくれました。普段だったら、マックナスティなんて上級者の技だから私なんかには無理だろうと思って挑戦しなかったでしょう。でも、北海道カヤッカーたちのガンガンやる姿勢に感化され始めていた私は、理屈も知らずに見よう見まねでトライしてみました。すると、バウが沈んでボートが立ち上がったのです。私もびっくり。褒め上手のミスター&ロボ子が「できるよ!今日中にできるよ!ミスターがマック始めて3年目のレベルに既に到達してる!」と、おだててくれました。もちろん、コンプリートにはまだまだ遠いですが、バックブラスティングの感覚を知っただけでも収穫です。というわけで、冷やし中華始めましたの如く、マックナスティ始めました!
歴舟川上流 参考水位 尾田102.43
歴舟川の上流といっても、いくつか区間があるようですが、とある区間に行きました。これは道民でもなかなかレアな体験のようで、暇っこクラブに感謝です。私がダウンリバー好きというのを察して、連日のダウンリバーを計画してくれました。平日ですが、そこは暇っこクラブ、集まりが良いです。
堰堤下からスタート。
上流区間は山の中。雪渓がまだ残っています。
十勝のレジェンドカヤッカー、なりちゃん。ピラニアSUB7でカートぐるぐるです。なりちゃんは夏は一人でここに来て、素っ裸で過ごしてるそうです。うん。たしかにここは誰も来ない。熊しか来ない。
わおー。こんな落差もあるよ。北海道で初クリーク。見えない箇所は、まめに上陸してスカウティングしました。
崖には苔がフカフカ。本当に美しい。春の息吹き。
山ちゃん、なりちゃん、くにちゃん、私の4人で。
豊似川 これまた道民でもレアな川へ。時々、落差のある瀬が出てきて面白かったです。この頃には、水が綺麗なのはもう当たり前という感覚に私もなっていました。
ここからスタート。
スタートのスライダーぽい瀬。
こんな落差もあるよ。人によって選ぶラインが違うのが面白かった。
北海道ダウンリバーらしい眺め。
今日も楽しかったね。
十勝川(トムラウシ区間、ラフト区間) 北海道の最終日も漕ぎます。夕方にはフェリー乗船しないといけませんが、暇っこクラブは私に暇を与えません。
トムラウシ区間は道民でもレアな区間です。雨で増水し過ぎて、のっぺりしており、流速も早くて30分足らずでゴールした。
ここからスタート。スタート前に、ハンドサイン、ホイッスルの確認をしました。
最終日は、くにちゃん、大ちゃん、なりちゃんと4人で。ありがとねー。
パドルをデッキに置いて、両手でカメラを構えて撮っていたら、パドルを流してしまい、アッと思ったら沈。アホ~。こりゃヤバイと思ったけど、すぐ近くになりちゃんがいたので、手を出して待っていたらなりちゃんが速攻でバウレスに来てくれました。増水して流速あったので、沈脱してたら上陸するのが大変だったでしょう。バウレスって、ありがたい~。私も今度、誰かにバウレスしてあげたい。(その2日後に、山形県の根子川で他の人をバウレスできました。)
濡れた格好のまま回送して、2本目の下流のラフトコースへ。こちらも増水し過ぎて、20分でゴール。
十勝から苫小牧へ向かいフェリーに乗船して北海道に別れを告げたのでした。3週間前に北海道に着いた時には想像もできない日々でした。
さて、北海道といえばグルメです。食いしん坊の私のことですから、そりゃあもう食べまくりましたが、既に長文のブログになっていますので、どの店の何が旨かったというグルメ情報は割愛します。
詳細は省きますが、北海道の皆さんと囲んだ食卓というのは本当に楽しい時間でしたので、その様子を紹介します。
Sウェーブの岸でBBQ。道民にとっては焼肉=ジンギスカンなんですね。羊肉は美味しいので内地のスーパーでも普通に売ってくれればいいのになあ。
最初の晩餐はミスター&ロボ子の案内で余市の「ガーデンハウス・ファミリー寿司」
余市の「みやちゃん」で、みなかわさんも。
「余市川温泉の2階」で、ひかるちゃんとキム姐も。この店はマジですごいっす。ここでは書けませんので、詳しくはミスターさんに聞いてください。
余市の「食事処 たけや」で、ヨッシーとキム姐も。この二人のカヤックへの情熱は熱すぎます。2015年は仕事を辞めてカヤック一本でやっていくそうです。女性の時代だな。
ミスターさんのキャンピングカーでの宴も楽しかったです。おしゃべりしてると時間があっという間に過ぎました。
飛行機で来て一週間滞在した隊長さんと。
ロボ子は料理の手際が良い。一度に複数の作業をこなします。山菜を洗いつつ、肉を炒めつつ、お酒を作りながら、皿を洗う。高スペックのCPUを搭載した女性型ロボットです。一度に複数のタスクをこなせるからフリースタイルが上手いのかなと思いました。リーンをかけつつ、体重移動しつつ、目線を意識しつつ、パドルワークする、みたいな。
春の山菜は本当に美味でした。アイヌネギ(行者にんにく)、コゴミ、アズキナ。
アイヌネギの肉巻きをわさび醤油で。道民には一般的ではない食べ方だそうで、ミスターさんが開発した絶品です。箸が止まりません。
同時期に北海道滞在したミスター&ロボ子に感謝です。知り合いがいない北海道で心細かったですが、お二人のおかげで寂しい思いをすることはありませんでした。ミスターさんは道民以上に北海道の隅々まで御存知で驚きました。
山ちゃんが暮らすシーソラプチ川のほとりにあるカフェ「ベリーズ」さんのパエリヤも美味。
二次会でアイヌネギ山盛りのジンギスカンを山ちゃんとみなかわさんとやりました。旨いけど、翌朝の自分の体臭の臭さに参りました。ウマイ、クサイ、ウマイ、クサイ。やめられません。
ハッパの中毒患者となった私は翌日も収穫に勤しむのでした。
最後の晩餐は暇っこクラブとBBQ。大樹町で水揚げされた魚の干物です。どれも良いお味。
観光もしましたよ。積丹岬へドライブしたり。
お菓子の六花亭の「六花の森」で隊長さんとデート。モネの絵画のような庭園。
お花畑の中年。
水どうファンの聖地・平岸高台公園に立った時には感無量でした。写真はHTB。ここから数々の名作が生まれた。
2008年と2013年にも北海道を訪れていますが、この時は現地の人とはあまり交流していません。海外旅行などもそうですが、内輪だけで会話するよりも地元の人と触れ合うことで、その土地の風土や文化を理解して、旅が深まるのだなあと思いました。
冒頭でも述べましたが、北海道のカヤックシーンのアツさは特筆ものです。北海道の熱風を、ぜひ本州へ。
ここまで読んだアンタはえらい!
by ya-ri-sa | 2014-05-16 19:33 | 川部